部屋の湿気とカビ対策|原因別の対処とやってはいけない掃除

部屋の湿気とカビは、掃除の手際よりも水がどこから出て、どこにたまっているかでほぼ決まります。先に手を付けるのは、湿気を出しすぎない(入浴・調理・室内干しの水分を外へ逃がす)、ためない(空気が止まる場所を減らす)、動かす(換気と送風)の3つです。カビ取り剤を買うのはその後で構いません。

カビ取りの作業には、混ぜてはいけない組み合わせや、使えない素材があります。ここは自己流にせず、製品の表示とメーカーの案内どおりに進めます。安全に関わる部分なので、この記事では出典を製品ページと法令・公的資料に限りました。

この記事では「湿気対策」を、除湿機を買うことではなく、発生源・結露・空気の流れ・収納の中の4つに分けて、湿度が上がる時間と場所を減らすことと定義します。賃貸で退去時に問題になりやすい点も、国土交通省の資料をもとに最後にまとめます。

収納の中の湿気から手を付けたい場合は、押入れをクローゼット化するときの寸法と湿気対策もあわせて読めます。

水滴で白く曇った格子窓のガラス。外の緑がぼやけて見えている

結論:湿気は「出しすぎない・ためない・動かす」の順に手を打つ

住まいの湿度は40〜60%を日常の目安にし、60%超が長く続く場所を作らない。40〜70%は特定建築物の管理基準で、住宅の上限ではない

対処は、湿気の出どころごとに変わります。まず自分の部屋でどれが起きているかを当てはめてください。

湿気の出どころたまりやすい場所最初にやることやりがちだが効きにくいこと
入浴・シャワー浴室・脱衣所入浴後に換気扇を回し、浴室の扉は閉めておく扉を開けて湿気を居室へ流す
調理・湯沸かしキッチンと隣の居室加熱している間はレンジフードを回す換気扇を止めて窓だけ細く開ける
洗濯物の室内干し居室・脱衣所除湿機か換気扇と併用し、洗濯物に風を当てる締め切った部屋に干して放置する
就寝中の汗と呼気寝具の下・床との接地面起床後に寝具をめくり、湿気を逃がしてからたたむ起きてすぐ布団を畳んで収納へ入れる
梅雨・夏の外気部屋全体・北側の部屋外が高温多湿の時間帯は窓を閉めて除湿する湿度に関係なく一日中窓を開ける
結露(冷えた面の水滴)窓・北側の壁・家具の裏冷える面との温度差を減らし、出た水滴は拭き取る水滴を拭かずに乾くのを待つ

この表は優先順位ではなく、原因の分類です。同じ部屋でも、冬は結露、梅雨は外気、通年で室内干しというように、季節で主役が入れ替わります。

そもそもカビは何がそろうと生えるの?

カビは、有機物を栄養にして育つ微生物(真菌)の一群です。生えるには水・温度・栄養の3つが必要で、部屋の中でふつうに用意できてしまうのは水、つまり湿気です。

文部科学省の「カビ対策マニュアル」は、博物館や図書館の資料を守るための公的資料ですが、カビが育つ条件そのものは住まいでも変わりません。基礎編は微生物の生育温度をまとめた表で、カビの生育可能温度領域を0〜40度、生育最適温度を25〜28度としています。人が快適に過ごす室温は、そのままカビにとっても快適な温度帯です。

温度は下げにくいので、動かせるのは水分と栄養です。同マニュアル基礎編は「通常では対象とする物質のAwを0.6以下に保持するとカビは全く生育できない。これを維持するために環境の相対湿度を温度変化に拘わらず常に60パーセント以下に保つことが必要である」と書いています(Awは水分活性で、微生物が使える自由水の量を表す指標です)。

栄養はホコリや皮脂などの有機物です。実践編も「相対湿度は60パーセントを超えないように、また空間や資料周りを清浄に保つことが重要である」として、湿度管理と清掃をセットで挙げています。除湿だけ、掃除だけでは片方が残ります。

木の面に置かれた円形のアナログ温湿度計。上に温度、下に湿度の目盛りがある

なお、同マニュアル基礎編には、カビ胞子が「シックハウス症候群、喘息等アレルギー疾患の原因となっている場合もある」との記述があり、実践編には「カビ胞子は殺菌してもアレルゲンであるので吸入量をできる限り抑制することが必要である」とあります。体調に不安がある場合や症状が続く場合は、掃除の工夫で解決しようとせず、医療機関に相談してください。

室内の湿度は何パーセントを目安にすればいい?

住まいの目安としては、東京都が示す**40〜60%**が使いやすい数字です。東京都保健医療局の「健康・快適居住環境の指針」は、17分野37指針のうち「No.4 湿度管理」を「湿度の目安は40〜60%」と示しています。同じ指針には「No.8 結露の防止(室内の温度や空気の流れに注意)」「No.9 室内のカビ対策」も並びます。

法令上の数値もありますが、対象を取り違えないでください。厚生労働省が所管する建築物衛生法の建築物環境衛生管理基準では、空気調和設備を設けている場合の相対湿度を「40%以上70%以下」、温度を「18℃以上28℃以下」(令和4年4月1日以降)としています。これは特定建築物(一定規模以上の事務所や店舗など)の維持管理基準であり、住宅に直接かかる基準ではありません。

3つの数字の関係を整理すると、次のようになります。

出どころ数値対象使いどころ
東京都「健康・快適居住環境の指針」湿度の目安は40〜60%住まい全般日常の目標値として温湿度計に当てる
建築物衛生法の管理基準(厚生労働省)相対湿度40%以上70%以下/温度18℃以上28℃以下特定建築物(事務所・店舗など)住宅の義務ではない。上限の考え方の参考
文部科学省「カビ対策マニュアル」基礎編相対湿度を常に60パーセント以下博物館・図書館などの資料保存カビを生やさない条件としての上限

家庭では60%を超えた状態が長く続く場所を作らないことが実務的な線引きになります。温湿度計は1個を居室の真ん中に置くだけでなく、押入れの中や窓際など条件が違う場所にもう1個置くと判断しやすくなります。

部屋の湿気はどこから来ている?

出どころは大きく分けて、室内で発生するものと外から入るものの2つです。室内側は入浴、調理、洗濯物の室内干し、就寝中の汗と呼気、観葉植物や水槽など。外側は梅雨や夏の高湿な外気と、雨の吹き込みです。

室内干しは、干した洗濯物の水分がそのまま室内の空気に移ります。除湿機や換気扇を併用せずに締め切った部屋へ干すと、部屋の湿度が上がったまま下がりません。

室内の物干しラックに掛けた布を、木の洗濯ばさみで留めている手

外気については、換気すれば必ず湿度が下がるわけではない点に注意します。文部科学省のマニュアル実践編は、外気を温度調節しないまま室内へ入れると「内外の環境条件の差によっては高湿度となる場所が室内にできる」とし、「夏季の外気の温度と相対湿度は高く、一般に室内温度の方が低いため、ダクト等送風装置近傍に湿気だまりが生じたり、結露することも多い」と説明しています。梅雨時に窓を全開にして湿度計が上がったなら、換気ではなく除湿の出番です。

結露はなぜ窓や壁の決まった場所で起きる?

結露は、空気中の水蒸気が冷えた面で水に戻る現象です。同マニュアル基礎編は「大気中の水分は温度が低下することにより飽和水蒸気圧が低下し、結露が起こる。この結露が起こる温度を露点といい」と説明しています。つまり結露は「湿気が多い」だけでなく、冷たい面があることで起きます。

一面に細かい水滴が付き、筋になって流れ落ちている窓ガラス

だから場所が偏ります。実践編は「窓など、外部からの影響を受けやすい部分は常に湿気がたまりやすく、カビ等被害を受けやすい」とし、外壁側の壁に近接して棚があったり物を立てかけたりしている場所で被害が出る事例を挙げています。冷えた面と、そこに触れる空気の逃げ場がない状況が重なると、水滴が同じ場所に出続けます。

対策は2方向です。ひとつは温度差を減らすこと。実践編も「結露が原因であれば、温度差がなくなるように、断熱補強や空調温度設定の変更など何らかの方法で、空間全体をほぼ等温にするように変えていく必要がある」としています。賃貸で断熱工事はできませんが、暖房を切って一気に冷やす運転をやめる、冷える面の前をふさがないといった調整はできます。

もうひとつは、出てしまった水滴をその日のうちに拭くことです。窓のサッシの下枠や、家具の裏に伝った水は蒸発しにくく、そこだけ湿った状態が続きます。

木枠の窓が開いた室内。窓辺にクッションを並べたソファが置かれている

換気はどれくらいやればいい?

2003年(平成15年)7月1日以降に着工した住宅なら、まず備え付けの換気設備を止めないことが先です。国土交通省は建築基準法のシックハウス対策として、内装にホルムアルデヒド発散建築材料を使わない場合でも「居室を有する全ての建築物に機械換気設備の設置が原則義務付けられています」と説明しています。同省は、この規制が平成15年7月1日以降に着工された建築物に適用され、それ以前に着工されたものには適用されていないことも明記しています。

古い物件で常時換気の設備がない場合や、追加で空気を入れ替えたい場合は、窓を使います。2か所開けて空気の入口と出口を作るのが基本で、花王も塩素系のカビ取り剤の使用条件として「窓や戸を開ける、換気扇を回す等必ず換気する。(2ヶ所以上開けると換気効果が高い)」と案内しています。

そのうえで、空気が止まっている場所をなくします。文部科学省のマニュアル実践編は「空気が滞留している場所は多くの場合、湿度が高くなっている」と述べ、開架式の棚でも棚の中央は通路に比べて相対湿度が5パーセント程度高くなっていた測定例、床に近い層だけ相対湿度が70パーセント前後の状態が続き、その一部でカビが発生した事例を挙げています。さらに「一般に、湿気は下にこもりやすい」とも書いています。部屋の中央の湿度計が55%でも、家具の裏や床付近はそれより高いことがある、ということです。

棚の中央は通路側より相対湿度が約5ポイント高く、床に近い層では70%前後が続いて一部にカビが発生した測定例。家具の裏や棚の中央、床付近も測る

場所別にはどう手を打つ?

湿気がたまるのは、たいてい扉で閉じている場所冷える面です。優先順位はこの2つで決めます。

押入れ・クローゼットは詰めない・床から離す

閉じたまま物が詰まっている収納は、空気が動かず湿気が抜けません。前述の実践編の測定例(棚の中央のほうが湿度が高い、下層のほうが湿度が高い)は、そのまま押入れとクローゼットに当てはまります。

ハンガーに掛けた衣類がすき間なく並んだクローゼットの中

やることは3つです。詰め込みを減らして服と服のあいだに手が入る程度のすき間を作るすのこや脚付きの収納で床から離す天気のよい日に扉を開けて空気を入れ替える。実践編も、閉め切っている収蔵庫や書庫について「少なくとも年1回、温湿度の安定している時期に、目通し、風通しの機会を設ける」ことを勧めています。住まいなら、季節の変わり目に扉を開けて中を見る習慣で足ります。

寝具は特に湿気を持ち込みます。起床直後の布団をそのまま押入れへ入れない、というのはこの理由からで、置き場ごとの考え方は布団の置き場がない狭い部屋の収納方法にまとめています。

窓まわりと家具の裏はすき間を空ける

外壁側の壁に家具の背板をぴったり付けると、冷える面と空気の逃げ場のない場所が同時にできます。数センチでも壁から離し、掃除のときに動かせる状態にしておきます。窓際に置いた収納も、下枠に伝った結露が当たらない位置へずらします。

浴室・洗面所は「入浴後の換気」と「水気を残さない」

浴室は入浴後の換気が中心です。扉を開けて居室に湿気を流すのではなく、扉を閉めて換気扇を回します。洗面所側は、洗濯機のまわりや洗面台下など、水気が残りやすい場所を先に確認します。

白いモザイクタイルの浴室の壁と、ボトルやブラシを並べた棚

洗濯機の上や洗面台まわりに棚を足すときは、湿気と耐荷重の両方を見ます。選び方は賃貸の狭い洗面所に洗濯機上収納を作る方法で、防錆と取付幅の観点から整理しています。

エアコンは「冷房のあと乾かす」

冷房と除湿の運転後は、室内機の内部が濡れています。ダイキン工業は内部クリーンについて「冷房や除湿(ドライ)で濡れた室内機の内部を乾燥させて、カビやニオイの発生を抑える機能です」と説明し、運転停止後に送風や暖房運転を行い、約80〜140分後に自動で止まるとしています。同社は「すでに発生してしまったカビやニオイは、内部クリーンでは除去できません」とも明記しています。予防の機能であって、掃除の代わりではありません。

やってはいけない掃除は?

ここが一番事故につながります。特に塩素系のカビ取り剤に酸性の製品やアルコールを混ぜることは、家庭で有害なガスが発生する典型的なパターンです。

黒いテーブルに置かれた黄色いゴム手袋、ピンクの布、スプレーボトル

やりがちな掃除何が起きるか代わりにすること
塩素系のカビ取り剤と酸性洗剤・食酢・アルコールを併用する有害なガスが発生するおそれがある製品の表示どおり単独で使い、別日に使う場合も十分に洗い流してから
換気せずに使う/入浴中に使うガスや液が室内にこもり、目や気道への刺激につながる窓や戸を2か所以上開けるか換気扇を回し、手袋・マスク・眼鏡を着ける
浴室用のカビ取り剤を木部やクロス壁に使う変色・脱色・サビなど、素材側の傷みが出る製品が挙げている「使えないもの」を先に読み、素材に合う方法へ切り替える
乾いた状態でカビをこすったり払ったりする乾いた胞子が飛散しやすくなる作業範囲を区切り、吸引できる機器を近くに置いてから静かに取り除く
普通の掃除機でカビを吸う排気側から細かい粒子が室内へ戻る可能性があるHEPAフィルター付きの機器を使う。無い場合は吸わずに拭き取る
除湿機のタンクを満杯のまま放置するかえって周囲が高湿度になる満水停止の有無と排水方法を確認し、こまめに捨てる

順に根拠を示します。

塩素系と酸性・アルコールを一緒に使わない

消費者庁の雑貨工業品品質表示規程(別表第二 三)は、衣料用・台所用・住宅用の漂白剤のうち、規定の試験で1.0ppm以上塩素ガスを発生するものについて、「まぜるな 危険」「塩素系」の表示に加え、「酸性タイプの製品と一緒に使う(混ぜる)と有害な塩素ガスが出て危険である旨」「目に入った時は、すぐに水で洗う旨」「子供の手に触れないようにする旨」「必ず換気を良くして使用する旨」を表示するよう定めています。容器の赤と黄色の表示は、装飾ではなく法令に基づく特別注意事項です。

混ぜてはいけない相手は酸性洗剤だけではありません。花王は強力カビハイター ハンディスプレーの使用上の注意で「必ず単独で使用する。酸性タイプの製品や食酢・アルコール等と混ざると有害なガスが発生して危険。」と案内しています。同社は「1度に大量に使ったり、続けて長時間使わない。」ことも挙げています。除菌のつもりで消毒用アルコールを重ねてスプレーする、といった使い方はしないでください。

換気と保護具を省略しない

同製品の使用上の注意には「窓や戸を開ける、換気扇を回す等必ず換気する。(2ヶ所以上開けると換気効果が高い)」「炊事用手袋、マスク、目の保護に眼鏡等を着用する。」があり、入浴中は使わないことも書かれています。応急処置として「目に入った時は失明のおそれがある。こすらずただちに流水で15分以上洗い流し、痛みや異常がなくても直後に必ず眼科医に受診する。」とも記載されています。作業前に、この応急処置の記載を読んでおきます。

塩素系カビ取り剤は単独で使い、窓や戸を2か所以上開けるなど換気し、手袋・マスク・眼鏡を着ける。目に入ったら流水で15分以上洗って直後に眼科を受診する

素材を選ぶ

強力カビハイターの液性はアルカリ性で、用途は浴室内のカビ汚れです。花王が「使えないもの」として挙げているのは、獣毛のハケ・ブラシ、木製品、ホーロー・アルミニウム・真ちゅう等の金属製品(サビの原因になる)、しっくい壁・クロス壁・一部ユニットバスの化粧鋼板壁、浴槽栓等のゴム部分です。押入れの板や壁紙に浴室用の製品を吹き付けるのは、この案内から外れます。

乾いたまま払わない、吸うならHEPA付き

文部科学省のマニュアル実践編は、カビの除去について、汚染が拡大しないよう作業区画を仕切ること、吸引できるように掃除機や空気清浄機を近くに静かに配置することを手順に挙げています。そのうえで「大気の除湿を進めるとカビの活性が落ちる場合が多くカビが払いやすくなるが、乾燥した胞子が飛散しやすい状態にもなる」と注意しています。掃除機については、清掃の項で「掃除機を使用する際には、HEPAフィルター付のものにする」としています。

エタノールも万能ではありません。同マニュアル基礎編は、エチルアルコールについて「栄養型の細菌には有効だが、細菌芽胞、真菌や酵母に対しては長時間の接触が必要である」と説明し、殺菌剤について「エタノールも人体毒性があり」と注意しています。吹きかけてすぐ拭き取る使い方で、カビが片づいたことにはなりません。

除湿機のタンクを満杯で放置しない

実践編は、高湿度の場所で除湿器を使う場合について「タンクが満杯になった状態で長時間放置すると、かえってその周囲が高湿度に見舞われるので適切に管理する」としています。同じ項で「1台の除湿器でカバーできる範囲は送風の及ぶ範囲に限られるため、空気の採り入れ口に向かって室内空気を動かせるように送風機と組み合わせると良い」とも書かれています。置きっぱなしより、水を捨てる手間と風の向きのほうが効きます。

除湿機とサーキュレーターはどう選ぶ?

除湿機は方式で得意な季節が変わります。パナソニックは公式サイトで、コンプレッサー方式を「湿った空気を冷却器で冷やすことで、湿気を水滴にしてタンクに回収する方式。エアコンの除湿と同じ仕組みです。ヒーターを使用しないため消費電力は低く省エネです」と説明し、メリットとして「夏場の電気代を抑えられる」「部屋の温度上昇が少ない」を挙げています。

デシカント方式は「『デシカント素子』という乾燥剤のフィルターに湿気を吸着させて除湿する方式」で、メリットは「冬場に強く、1年を通して使える」「コンプレッサーがない分、軽量・コンパクト」。ペルチェ式については「クローゼットやシューズボックスなどの収納、トイレなどの狭いスペースの除湿が可能です」としています。部屋全体か、収納の中かで選ぶものが変わります。

白い台の上に置かれたクリーム色の卓上扇風機

送風は除湿機とセットで考えます。前述のとおり、除湿機がカバーするのは送風の届く範囲で、空気が滞留している場所は湿度が高くなりがちです。扇風機やサーキュレーターは、部屋の空気を除湿機の吸込口へ向かって動かす、家具の裏や部屋の隅の空気を止めない、という役割で使います。

賃貸ではカビは誰の負担になる?

「結露を放置したことで拡大したカビ」は、賃借人の負担として例示されています。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)の別表は、賃借人負担側の例に「賃借人が結露を放置したことで拡大したカビ、シミ(賃貸人に通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合)」を挙げています。

同省が令和5年3月に公表した参考資料でも、「賃借人が原状回復義務を負うのは、故意・過失、善管注意義務違反等による損耗等に限られます」としたうえで、その例に「結露を放置したために拡大したカビやシミ」を挙げています。あわせて「結露は建物の構造上の問題であることが多いですが、結露が発生しているにもかかわらず賃貸人に通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り壁等を腐食させた場合は通常の使用による損耗を超えると判断される場合が多いと考えられます」と説明されています。

読み取れるのは2点です。結露そのものは建物側の問題であることが多いこと、そして通知と手入れを怠った場合に負担が生じうることです。したがって、結露やカビに気づいたら管理会社へ連絡し、日付の分かる写真を残し、水滴を拭く。この3つが記録として効きます。

同じ参考資料によると、賃貸住宅のトラブルについては消費生活センターに毎年3〜4万件程度の相談が寄せられ、「敷金ならびに原状回復トラブル」がその3〜4割程度を占めています。なお、ガイドラインは一般的な基準であり、実際の負担は契約内容と使用状況によって個別に判断されます。壁に棚やフックを付けている場合の考え方は賃貸の壁に棚を付ける前の判断表にまとめました。

自分でやるか、プロに頼むかの線引きは?

自分で対処できるのは、表面に出ている汚れで、使う製品が対応している素材で、換気と保護具を確保できる範囲までです。次のいずれかに当てはまるなら、無理に広げず相談を検討します。

  1. 壁紙の内側や下地まで及んでいる(拭いても数日で同じ場所に出る)
  2. 範囲が広い(浴室の一面、押入れの奥全体など)
  3. 原因が構造側にありそう(雨漏り、配管の水漏れ、外壁側の壁だけ結露が続く)
  4. 使えない素材が対象(木部、クロス壁、化粧鋼板など)
  5. 作業中に体調の変化が出る

賃貸で1〜3に当てはまるなら、業者へ依頼する前に管理会社へ連絡してください。建物側の不具合であれば、費用負担の話が変わります。持ち家や、原因が室内の使い方にある場合は、ハウスクリーニングやカビ取りの専門業者が選択肢になります。依頼するときは、作業範囲・使う薬剤・養生の方法・再発時の対応を見積書で確認します。

よくある質問

部屋の湿度は何パーセントを目安にすればいいですか 東京都保健医療局の「健康・快適居住環境の指針」は、湿度管理の目安を40〜60%としています。文部科学省の「カビ対策マニュアル」基礎編は、カビを生育させないために相対湿度を常に60パーセント以下に保つ必要があるとしています。家庭では、60%を超えた状態が長く続く場所を作らないことを目標にすると判断しやすくなります。

梅雨の時期は窓を開けたほうがいいですか 外の湿度が高い時間帯は、窓を開けても室内の湿度は下がりにくくなります。文部科学省のマニュアル実践編は、外気を温度調節せずに入れると内外の条件差で室内に高湿度の場所ができること、夏季は外気の温度と相対湿度が高いことを挙げています。温湿度計を見て、外が高温多湿なら窓を閉めて除湿し、湿度が下がる時間帯に換気するほうが現実的です。

カビ取り剤に消毒用アルコールを重ねて使ってもいいですか やめてください。花王は強力カビハイターの使用上の注意で「必ず単独で使用する。酸性タイプの製品や食酢・アルコール等と混ざると有害なガスが発生して危険。」と案内しています。消費者庁の表示規程でも、塩素系の漂白剤には酸性タイプの製品と混ぜると有害な塩素ガスが出て危険である旨の表示が定められています。

押入れのカビに浴室用のカビ取り剤を使ってもいいですか 製品の対象素材を先に確認してください。花王は強力カビハイターの用途を浴室内のカビ汚れとし、使えないものとして木製品、しっくい壁・クロス壁、金属製品などを挙げています。押入れの板や壁紙は対象外にあたるため、別の方法を選ぶか、範囲が広い場合は業者に相談する判断になります。

エアコンの内部クリーンを使えばカビは取れますか 取れません。ダイキン工業は、内部クリーンを冷房や除湿で濡れた室内機の内部を乾燥させてカビやニオイの発生を抑える機能と説明し、「すでに発生してしまったカビやニオイは、内部クリーンでは除去できません」と明記しています。発生の予防に使う機能で、すでにあるカビには別の対応が必要です。

まとめ

湿気とカビの対策は、除湿機を買う前にどこから水が出て、どこにたまるかを分けるところから始まります。目安は湿度40〜60%、60%超が長く続く場所を作らないこと。空気が止まる押入れ・家具の裏・床付近は、部屋の中央の湿度計より条件が悪くなります。

結露は「湿気」と「冷えた面」がそろって起きます。温度差を減らし、出た水滴はその日のうちに拭く。賃貸では、気づいた時点で管理会社へ連絡し、記録を残すこと自体が負担の線引きに関わります。

そして掃除は自己流にしないでください。塩素系の製品は単独で、換気と保護具を確保して、対応している素材にだけ使う。乾いたまま払わない。除湿機のタンクは満杯で放置しない。ここを守るだけで、事故と再発の両方が減ります。収納側の見直しから入るなら、狭い部屋の収納アイデア30選も使えます。

参考資料